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消えた「耳印」視覚障がい者の苦悩

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毎日のように新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新しています。

感染者数の減少を期待し、次々と各都道府県は、まん延防止等重点措置を実施しています。しかし、経済活動は鈍る一方、また生活様式は変化をせざるを得ない。そうした状況下において、人知れず弊害を受けている方々がいます。

障がい者の方々です。

コロナ禍になる前、視覚障がい者の方の生活は、まさに社会と共生していました。その共生の一因になっていたのが環境音です。

視覚障がい者の方が外出すると歩行のための目印を探します。それは点字ブロックではなく周りの環境音になるそうです。

環境音は視覚障がい者の方にとって、まさに「耳印」になっています。

耳を凝らし、周りの環境音から空間認知を獲得していく、この一連の動作によって安全を確保して歩行する。

私は、視覚障がい者が歩行のときに使っている杖、白杖(はくじょう)で空間認知をして安全に歩行できていると思っていました。

もちろん、白杖の役割は大きいですが、それと同時に環境音から入ってくる情報もまた大きかったのです。

今、その環境音は、新型コロナウイルスの猛威によって大きく様変わりしました。

以前のような活気のある街から聞こえてきた音はなく、人通りも少なくなり今まで聞こえていた音はなくなりました。

そのことによって視覚障がい者の方に必要な音の情報が乏しくなり、横断歩道を渡るときも以前だったら周りに人がいて、一緒に渡ることができていたのが、人がいなくなったせいで渡れなくなった横断歩道もあります。

また、外で困っているときにコロナ禍の前であれば、すぐに手助けがあったものがコロナの影響で機会が少なくなっている現実もあります。

これは視覚障がい者の方が、コロナ禍以前では社会に溶け込んでいたと云えます。まさに共生社会だと思います。

コロナ禍で、その共生が弱くなっている状況で必要なサポートをしていかないといけない。そうした中で、ひとつのサービスが東京メトロで提供されています。

視覚障がい者ナビゲーションシステムアプリ「shikAI(シカイ)」

「shikAI」のQRナビゲーションシステムは、駅構内の点字ブロックに表示したQRコードを、専用アプリで起動したスマートフォンのカメラで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを導き出し、音声で目的地までナビゲートするシステムです。
各QRコードには正確な位置情報が紐づけられており、視覚障がい者の方が迷うことなく、ホームから改札を通り出口まで向かうことを支援します。

私たちは新型コロナウイルスの猛威によって、生活様式を変えていく中で如何に人との関りを持っていくのか。そして、どのようにして人に手を差し伸べていくのか。

ある意味、今まではなんとなく社会の中で共生できていたのが、コロナによって、その問題点が明るみになり、新しい対応を模索するための分岐点になっているのかもしれません。

分岐点のひとつとして今回、紹介した視覚障がい者ナビゲーションシステムアプリ「shikAI(シカイ)」を東京のみならず大阪においても導入され、そして、このシステムが屋外、街中でも活用できるような環境が整うことで、視覚障がい者の方が安全で安心できる生活が送れる街になることを期待します。

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